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【レポート】川越+クリエイティブゼミvol.3「川越のまちに求められる観光客にも住民にも心地よい場のあり方について考える」
川越+クリエイティブゼミ vol.3
テーマ:川越のまちに求められる、観光客にも住民にも心地よい場のあり方を考える
2025年6月〜8月にかけて開催された「川越+クリエイティブゼミ vol.3」。今回のテーマは、「観光客にも住民にも心地よい場のあり方を考える」。まちに寄り添う“場”とはなにかを考えるべく、全5回のプログラムが実施されました。
ゲストとの対話、フィールドワーク、リサーチ、そしてグループワークを通じて、参加者一人ひとりが自分なりの視点を持ち寄りながら、提案に向けてアイデア創造を深めていきました。
【第1回】2025年6月11日
レクチャー&グループワーク|ゼミの幕開け
ゼミの初回は、初対面同士のアイスブレイクとして「9マス自己紹介」でスタート。会場に温かな空気が流れたあと、ゲストの永田宏和氏(コエトコ非常勤ディレクター)が登壇しました。
地域づくりの視点として「風・水・土・種」という独自のフレームを紹介しながら、全国での実践事例とともに、「心地よい場」とはどうあるべきかを語っていただきました。
続いて、川越市都市景観課の池田課長から、川越の歴史や現在のまちづくりに関するレクチャー。参加者は熱心にメモをとり、質問も活発に飛び交いました。
後半はグループワークへ。学びの中で生まれた疑問や気づきを共有しながら、テーマへの理解を深める時間となりました。
【リサーチ研修・まちあるき】2025年6月20日・21日
フィールドで「問い」のヒントを探す
第1回と第2回の間には、有志による特別プログラムが実施されました。
6月20日|リサーチ研修
リサーチを行う上での大切な7つの視点について、ゲスト講師によるレクチャーが行われました。情報の集め方だけでなく、「そこから自分が何を感じ、どう考察するか」という姿勢の重要性も共有され、今後のゼミにつながるヒントが多数詰まった内容に。
6月21日|まちあるき
一番街(蔵造りの町並み)を中心としたまちあるきでは、表通りだけでなく、地元の人しか知らない抜け道や歴史的な場所を訪問。現地でしかわからない“リアルな空気”や、住民の声に触れながら、まちの見え方が少しずつ変わっていきました。
【第2回】2025年6月27日
問いを立てる|チームでの方向性探し
この日は「GOOD & NEW」からスタート。24時間以内にあった“よかったこと”や“新しい発見”を共有し、会場の雰囲気が一気に和やかに。
ファシリテーターからゼミ全体の流れや、ワークにおける大切な視点を共有したのち、各自が進めてきたリサーチの内容をチーム内で共有。参加者たちは次々と付せんに気づきや追加リサーチ案を書き出しながら、議論が深まっていきました。
- Aグループは、「日帰り観光客の約50%が埼玉県民」というデータをもとに、「リピーターを生む仕掛け」や「交通手段」の調査などを深掘り。
- Bグループは、「川越まつりのように、世代を超えて楽しめる日常の場はつくれるか?」という問いを中心に、より具体的なアイデアを模索。
次回は中間発表。ここから「問い」が具体的な「アクション」へと変わっていきます。
【第3回】2025年7月4日
中間発表|問いからアクションへ
この回は、いよいよ各グループによる中間発表。以下の4つの観点に沿ってプレゼンテーションが行われました。
- 問いの設定(どうすれば私たちは…?)
- 問いの背景(リサーチ結果・キーワード)
- 問いに対するアクション案
- アクションに関わる「水の人」「土の人」(※永田氏によるフレームワーク)
発表後には、池田課長やスタッフからのフィードバックがあり、再度グループごとにディスカッション。問いの精度が上がり、アクションプランの具体性が高まっていきました。
【第4回】2025年7月25日
ブラッシュアップ|具体案としての整理
今回の目的は、最終発表に向けた「ブラッシュアップ」。
- Aグループは「心地よい場」からさらにテーマを絞り、「古き良き“涼”を感じられる場所」へと焦点を移しました。涼しさを体感するだけでなく、参加者同士がつながる“装置”のアイデアも展開。
- Bグループは、「ポケットパークを活用した地域活動の表現の場」に注目。実施フェーズ、運営の仕組み、参加者の巻き込み方など、トライアルに向けた計画が立てられました。
最終回となる第5回は、「出張コエトコナイト」としての発表会。「1901 TEA SALON」で行われる特別なトークイベントです。
【第5回】2025年8月8日
発表会|“心地よい場”のアイデアをかたちに
最終回は「1901 TEA SALON」にて発表会を開催。まちに溶け込むレトロな空間で、それぞれのグループが創り上げてきたアイデアを発表しました。
Aグループ|
出張・古き良き「涼」体験所
風鈴、打ち水、足水、すだれ、はっか油…。空調に頼らず、五感で“涼”を感じられる仕掛けを用いた休憩スポットを提案。参加者が思わず真似したくなるアイデア満載のプレゼンでした。
Bグループ|
Pocket Park Club
ポケットパークや空き地を活用し、地域住民と観光客が出会い、交流できるイベント型コミュニティ。「まずは高校の茶道部とのお茶会から始めたい」との想いが語られました
ゲストからのコメント(一部抜粋)
- 「短期間でここまで詰めたのはすごい」(岩堀さん/DMO川越)
- 「最初はふんわりした案だったが、聞くうちに“いけそう!”に変わった」(永田さん)
- 「このゼミ、最初から最後まで楽しんで参加できて本当によかった」(池田さん)
総まとめ|「心地よい場」を探る5回
川越+クリエイティブゼミvol.3は、「まちの空き地」という共通素材に対して、まったく異なるアプローチで提案を展開しました。ひとつは“涼”、もうひとつは“交流”。どちらも、観光客と住民が心地よく混ざり合える「場」を目指した提案です。
それぞれのグループが悩み、考え、語り合いながらたどり着いたプレゼンには、ゼミ全体の学びがしっかりと反映されていました。
この日生まれた提案が、今後「川越のまち」にどのような形で展開していくのか。トライアルやプロトタイピングが楽しみです!